1 不良な姿勢について
今ではスマートフォンが普及し、電車はもちろん街中でもみなさん常にスマートフォンを見てうつむいていることが多くなってしまっています。その他にも、運動不足や長時間同じ姿勢でいることで、筋肉が固まってしまい不良姿勢を引き起こしやすくなります。
不良姿勢には、大きく分けて以下の4つがあります。
1−1猫背
猫背は脊柱(背骨)が過度に後ろに反ってしまっている姿勢です。特に腰から背中にかけて丸くなってしまい、肩が内側に入り首から頭部にかけて前方に突き出します。
また、骨盤周りの筋肉の硬さが強くなるため、骨盤が後傾(後方に傾く)ことで、より一層の背中が丸まってしまいます。猫背は現代病と言っても過言ではありません。呼吸が浅くなったり、代謝が落ちたり自律神経が乱れるなど、様々な弊害が起こり、肩こり首こりなども引き起こしやすくなってしまいます。
1−2反り腰
反り腰は、文字通りで「腰が反ってしまう状態」のことを言います。太ももの裏から骨盤の後ろにつながる大腿二頭筋と言われる筋肉が弱くなってしまい、骨盤は前傾(前に傾いて)しまいます。このとき体は前に倒れないようにしようとして、ちょうど腰の辺りを反らせることでバランスと取り、反り腰の状態を作ってしまいます。
背骨のS字カーブがかなり急になっていて、胸とお尻が突き出ているような状態です。特に女性や年配の男性に多くみられ、自分では背筋をまっすぐ伸ばしているつもりで反っていることに気づかないケースが多いようです。
1−3フラットバック
フラットバックとは、頭部が前方に突き出すような形になり、本来背骨が湾曲しているにも関わらず、平たく真っ直ぐになり、骨盤が後傾してしまう状態の姿勢です。
こちらの姿勢も反り腰と同様腰や椎間板に負担をかけてしまうため要注意です。
1−4スウェイバック
スウェイバックとは頭部が前に突き出し、背中の上部(比較的首に近いところ)が丸まってしまい、骨盤の上部が後方に傾きながらも、前方に突き出していってしまう姿勢です。
そのため、胸の筋肉が硬くなり、デコルテラインが落ち、骨盤を支える筋肉が弱体化し、膝も反り返ってしまいます。
2 理想の姿勢とは?
何より疲労しにくのが一番理想的にはなりますが、同じ姿勢で長時間いると筋肉が疲労してしまいます。よく良い姿勢と言われますが、大きく分けて2つあります。
まずは、機能解剖学的に体に負担にならない姿勢と機能的に負担がかからない姿勢にわけることができます。私たちトレーナーの視点にもなる機能解剖学的に良い姿勢は、背骨が本来の自然な状態でS字を描き、なおかつ骨盤が前傾後傾しておらず、真っ直ぐで骨盤が立ち背筋が伸びている状態が良い姿勢です。
二つ目の良い姿勢は生理的湾曲という背骨がS字を描いた状態になります。
よく、良い姿勢を取ろうとするとすぐ疲れてしまうと言うお客様がいらっしゃいますが、その場合、柔軟性はもちろんですが、体を支える筋肉が弱ってしまっているため、引き起こされてしまいます。
一方で、機能的に良い姿勢というのは、姿勢を保つ際に筋肉が緊張せずに、表面の筋肉や奥深い筋肉のバランスが良いとされています。
2−1理想の姿勢チェックポイント
いかに綺麗な姿勢で立てているかがポイントになります。壁の前ギリギリに真っ直ぐ立ちましょう。
- 後頭部
- 肩甲骨
- お尻
- ふくらはぎ
- かかと
計5点が壁についていれば、まず良い姿勢と言われます。
この状態で、どこかが離れてしまっていると、骨盤など歪みが生じて軸が傾いてしまっています。また、体の側面から見た場合では、耳、肩、太もも、膝、くるぶしが直線を描くように立っていなくてはなりません。
座っているときは、頭が前に傾かないようにし、なおかつ背中が丸まらないように、机と椅子の高さに気をつける必要があります。特にデスクワークの方は、パソコンの上部に目線を持って来ることも背中を丸めにくくできます。
また、肘、股関節、膝、足首の角度を90度くらいに保ち、足裏全体で床を捉えて座ることも大切です。
2−2綺麗な姿勢のために意識すること
どんなに良い姿勢でも長時間そのままでいることで、筋肉が固まっていき体に負担はかかってしまいます。特に良い姿勢を作り保たせるために、以下のことを中心に行うだけでも、負担になりにくい姿勢でいることができます。
- 左右対称の動きや体の使い方を身につける。
- 立ち方、座り方、歩き方に気をつける。
- 腰を反らせたり背中を丸めたりせず、肩を開くようなイメージを持つ。
- 姿勢を保つ際に負担がかかる筋肉をストレッチをする
などが意識できると良いでしょう!
3 猫背を治すストレッチ
猫背を改善させるには以下の5つのストレッチが重要になります。
3−1大胸筋ストレッチ
肩の内巻きを改善するために大胸筋の柔軟性は重要です!
- 背もたれのない椅子もしくは、床など安定したところで行って下さい。
- 手を背中側で組み、あばら骨を開くように胸を突き出しながら肩甲骨を背骨に向けて寄せていきましょう。
- 呼吸は吐きながら行うとgood!
3−2広背筋ストレッチ
- 椅子に座るか床であぐらをかく姿勢になり、背筋を伸ばして座ります。
- そのまま左手で右手首を持ち、上に両手を伸ばしていきます。
- 上に上げた両手を上体ごと右に倒していきましょう。
- この時に、少し左手で右手を引っ張るようなイメージで伸ばしていくとしっかり伸びます。
- 伸びたところで、30秒キープして下さい。
- 反対も同じように行います。
3−3大臀筋のストレッチ
- 左足を前方に90度に曲げて、右足を後方に伸ばしていきます。
- 股関節から折れ曲がるように、体を倒していきます。
- しっかり伸びたところで、30秒キープしていきましょう。
- 反対側も同じように行います。
3−4肩甲骨のストレッチ
- タオルを持ち、両腕を上に伸ばしていきます。
- 両肘を体の横に近づけるように、背中にタオル持っていきます。
- 肩甲骨を背骨に寄せるようにしていくと、しっかり伸びます。
- 寄せたところで、30秒キープしていきましょう。
3−5腸腰筋のストレッチ
- 左膝を90度くらいに曲げて、前方に足を出します。
- 右足も膝を90度くらいに曲げて、後方に持っていきます。
- 背筋を伸ばしたまま、右の太ももの付け根に体重をかけていきます。
- 股関節部分に伸びを感じたら、30秒キープしましょう。
- 反対側も同じように行います。
4 反り腰を治すストレッチ
反り腰改善には以下の5つのストレッチが重要になります。
4−1大腿四頭筋ストレッチ
- 長座の姿勢で座っていきます。
- 右足の膝を曲げて、かかとがお尻につくようにします。
- そのままゆっくりと後方に体重をかけ、伸ばしていきましょう。
- この時に余裕がある方は、そのまま仰向けの姿勢になっていきます。
- しっかり伸びたところで、30秒キープします。
- 反対側も同じように行いましょう。
4−2足首のストレッチ
- 長座の状態で座り、両足の裏にタオルを引っ掛けて準備します。
- 背筋もしっかりと伸ばし、タオルを引くと同時に上体を少し前に倒します。
- 20~30秒キープしていきましょう。
- 反対側も同じように行います。
身体が硬くて悩んでいる方でも簡単にストレッチを行うことができますよ!ぜひお試しください!!
4−3脊柱起立筋ストレッチ
背骨の周りに付いている筋肉になります。
- 膝を抱えます
- 顎を胸に寄せながら30秒キープします
- なるべく背中を丸くしていきましょう。
4−4腸腰筋のストレッチ
- 股関節部分にある太ももの前側の付け根にある筋肉です。
- 足を前後に大きく開きます。
- 上体を起こしたまま、前足90°くらいに曲げて体重をかけていきましょう。
- 後ろ脚の腿の付け根部分がしっかりと伸びたら、30秒キープしていきます。
- 反対側も同じように行いましょう。
※腰を反らせる形になりますので、腰が痛い場合には無理しておこなわないようにしてくださいね。
4−5胸椎のストレッチ
- 背中を床と平行になるように、四つん這いの状態になります。
- 右手を頭の後ろにし、肘を曲げていきます。
- 肩甲骨の下の方から胸にかけて、天井を向くように捻っていきましょう。
- 曲げた肘を高く上げるようにして、胸の辺りに伸びを感じたら、30秒程キープします。
- 反対側も同じように行いましょう。
5フラットバックを治すストレッチ
フラットバックを改善するには以下の4つのストレッチが重要になります。
5−1大胸筋ストレッチ
- 背もたれのない椅子もしくは、床など安定したところで行って下さい。
- 手を背中側で組み、あばら骨を開くように胸を突き出しながら肩甲骨を背骨に向けて寄せていきましょう。
- 呼吸は吐きながら行うとgood
5−2腹筋のストレッチ
実はお腹の筋肉が、縮こまった状態になってしまうことでも、姿勢が悪くなったりしてしまうのです。どうしても、お腹の筋肉と言うと鍛えるばかりですが、ストレッチをして背筋が伸びやすく状態をぜひ作ってみて下さい。
- 両足を後ろに伸ばし、両手は肩の下に来るように肩幅くらいに開きます。
- そのまま上半身を起こしていきましょう。
- お腹の伸びを感じたら、30秒キープしましょう。
5−3大臀筋のストレッチ
- 左足を前方に90度に曲げて、右足を後方に伸ばしていきます。
- 股関節から折れ曲がるように、体を倒していきます。
- しっかり伸びたところで、30秒キープしていきましょう。
- 反対側も同じように行います。
5−4肩甲骨のストレッチ
- タオルを持ち両腕を上に上げます。
- 両肘を体の横に近づけるように、背中にタオル持っていきます。
- 肩甲骨を背骨に寄せるようにしていくと、しっかり伸びます。
- 寄せたところで、30秒キープしていきましょう。
5−5胸郭のストレッチ
- 右足を内側に曲げて、左足は開脚のように広げていきます。
- 右手を耳にくっつけるようにし、そのまま状態を斜めに倒していきます。
- この時に肋骨の間を一つ一つ広げるようにしていきましょう。
- 猫背にならないように、胸を広げていきます。
- 呼吸は止めずに、しっかりと伸びたら30秒程キープします。
- 反対側も同じように行いましょう。
6 スウェイバックを治すストレッチ
スウェイバック改善するには、以下の5つのストレッチが重要になります。
6−1大胸筋のストレッチ
- 右肘を90度くらいに曲げていきます。
- 肘から下を壁や柱などに当てます。
- 胸に体重を乗せていくように、少し状態を前に傾けていきましょう。
- しっかとと伸びたら、30秒キープします。
- 反対側も同じように行いましょう。
6−2ハムストリングスのストレッチ
- 左膝を内側に向かって曲げていきます。
- 右足は前にまっすぐ伸ばしていきましょう。
- そのまま股関節から折れ曲がるように、状態を前に倒していきます。
- できる限り膝は曲がらないように伸ばせると良いですが、柔軟性の低い方は少し曲がっていても大丈夫です。
- しっかり伸びたところで、30秒キープしましょう。
- 反対側も同じように行います。
6−3大臀筋のストレッチ
- 左足を前方に90度に曲げて、右足を後方に伸ばしていきます。
- 股関節から折れ曲がるように、体を倒していきます。
- しっかり伸びたところで、30秒キープしていきましょう。
- 反対側も同じように行います。
6−4腹筋のストレッチ
- 両足を後ろに伸ばし、両手は肩の下に来るように肩幅くらいに開きます。
- そのまま上半身を起こしていきましょう。
- お腹の伸びを感じたら、30秒キープしましょう。
6−5腸腰筋のストレッチ
- 左膝を90度くらいに曲げて、前方に足を出します。
- 右足も膝を90度くらいに曲げて、後方に持っていきます。
- 背筋を伸ばしたまま、右の太ももの付け根に体重をかけていきます。
- 股関節部分に伸びを感じたら、30秒キープしましょう。
- 反対側も同じように行います。
7終わりに
いかがでしたか?皆さんの日々の生活習慣や柔軟性のバランスで、不良姿勢でも状態は異なります。姿勢状況によって、アプローチする筋肉も異なりますので、ぜひご自身の姿勢にあったストレッチをして頂けたらと思います。
もちろん柔軟性を高めることは大切ですが、日々ご自身の姿勢や癖も気にするようにして頂けると、更に姿勢改善近道となります。ぜひ、参考にしてみて下さいね!
この記事を書いたコーチがいる施設
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