このコラムの目次
1 ぎっくり腰とは
「魔女の一撃」とも言われているぎっくり腰・・・ご存知でしたか?さっきまでなんでもなかった腰が一瞬で痛くなる腰痛を「魔女の一撃」という様に表現しているんですね!!
正式には「急性腰痛症」といいます。
ぎっくり腰は
- 腰部の捻挫
- 筋肉の損傷
- 筋膜性炎症
などの要素が合わさり神経を刺激して突然腰部に疼痛が走ります。
症状はピキッと軽い痛みから重度だと立てなくなって数日間寝込んでしまう程です。ぎっくり腰は筋肉や筋膜の異常であり、足の痺れや痛みが無いのが特徴です。多くは1週間〜2週間くらいで回復してきますが、なかなか良くならなかったり痺れなどが出ている場合、椎間板ヘルニアなどが併発している場合もありますので注意が必要です。
2ぎっくり腰はどうして起こるの?
実はぎっくり腰の原因は、はっきりとは分かっていません。筋肉の緊張や疲労の蓄積によって日常生活の中のふとした動作で起こることが多く、原因はさまざまです。それでは、ぎっくり腰を起こす4つの原因をご紹介します。
2−1柔軟性の問題
柔軟性が低いことによって関節の可動域が狭くなり、日常動作でも体にかかるダメージが増えてしまいぎっくり腰となる場合があります。
例えば、立った状態で前屈をした時に、可動域が−10センチの人が0センチまで頑張ってグイッと前屈をすると、可動域以上の動きをしようと体に力が入り、大きな負担がかかります。
前屈で例えましたが、体が硬いと立ったり座ったりの何気ない日常動作が体の負担となり不調を起こすきっかけとなります。また、体が硬いと筋肉が常に緊張状態となり、リラックス状態を忘れて疲れを溜めやすい体になってしまったりします。
これは、体が緊張状態となると自律神経の切り替えが上手くいかず疲れやすくなったり、筋肉の収縮が小さくなることで血液を送り出し疲労物質を流す力が弱くなり疲労が溜まりやすい体となるためです。
最近疲れやすいなと感じる方、疲れに対する対処ができていない方は体が硬くなってぎっくり腰を起こしやすくなっているかもしれませんね。
2−2筋力の問題
綺麗な姿勢をイメージしていただいた後に、ご自身の姿勢と比べてみるといかがでしょうか?ぎっくり腰を経験したことがある方や腰痛持ちの方は、猫背や反り腰といったように不良な姿勢が多くみられます。
それは体を支える筋力が弱くなっていたり、筋肉のバランスが悪いなどの原因が考えられます。
1つ挙げるとすれば、腹横筋という筋肉。腹横筋は腰痛の時に腰に巻くコルセットのような働きをする筋肉で、腰痛の予防・改善には欠かすことのできない筋肉です。
しっかりと筋力で体を支え、日常動作で体にかかる負担を軽減できるように筋力をつけておきたいですね。
2−3加齢の問題
腰椎は5つの椎骨が積み重なるようにできています。
それを支える椎間板や関節、筋肉や靭帯が部分的に損傷することによって痛みが出てきます。さらに中高年の方の場合、骨量の減少と腰椎の変形が進むことで、ぎっくり腰や腰痛の再発、腰痛が慢性化しやすい体となります。
椎間板や関節は30歳を過ぎた頃から徐々に加齢現象が起こってきます。中高年の方に限らず若くても一日一日、常に歳を取っていくためご自身の体と向き合ってメンテナンスをおこなう必要があります。
2−4体重の問題
体重が増加し、お腹周りが大きくなってくると妊婦さんのようにお腹が前に出てしまい反り腰になります。反り腰だと腰椎の弯曲が大きくなり、腰にかかる負担はかなり大きくなります。普段の姿勢が悪いと常に負荷をかけていることになりますのでギックリ腰のリスクも体重が増加することによって高まってしまいます。
3 ぎっくり腰になりやすい動きは?
ぎっくり腰は、日常生活の何気ない動きで起こることが多いです。その中でも腰に負担がかかる姿勢や動きをご紹介します。ぎっくり腰になりやすい方は、その動作を知っておくことで、腰に負担がかからないように十分に注意でき、今後ぎっくり腰の予防に繋がるでしょう。
3−1中腰で重たいものを持つ
中腰で重い荷物を持ち上げる時には、腰を落とし膝を使いましょう!と言われます。目の前の物を持ち上げたい一心で、腕と背中の筋肉だけで持ち上げると腰に負担がかかります。
そして持ち上げようと力を入れた瞬間ギクっとなるのです。膝関節を使って脚力を上手く利用することによって負担を分散させ、ぎっくり腰を防ぐことができます。
他には…
・できるだけ体に近づけて持つようにする
・持ち上げる時は、上を見上げない
・持ち上げたいものを正面に置いてから持つ
などがあります。
3−2前屈み姿勢
前かがみは日常生活のさまざまな場面でおこなわれています。
- 顔を洗う
- 靴を履く
- 下に落ちているものを拾う
など、考えると一日の中で何度前かがみになっているのでしょうか。ちなみに前かがみと前傾姿勢は似ているようで実は違います。
前かがみ…腰椎を起点にして倒れる動作のこと
前傾姿勢…股関節を起点にして倒れる動作のこと
を指します。
ぎっくり腰にならないためには、前傾姿勢がおススメです。股関節から体を前に倒すことによって上半身の重みを下半身の筋肉で支え負担を分散させてくれます。ぜひ、前かがみになるのではなくて前傾姿勢を意識し、ぎっくり腰を予防しましょう。
3−3咳やくしゃみ
くしゃみをすると、椎間板に最大300kgの負荷がかかると言われています。相撲の力士2人分くらいの重さを想像すると恐ろしいですね!くしゃみをおこなう時のポイントとしては体が大きく揺れる不安定な姿勢は避けてどこかに手を付き、体を支えつつくしゃみをすることです!
立っている時は机や壁、座っている時は膝や椅子などに手を付きましょう。
3−4急に立ち上がる
長時間座っていて腰や足の筋肉が固まってしまっている状態でいきなり立ち上がろうとしてぎっくり腰になってしまったという方は多くいらっしゃいます。
ぎっくり腰に限らず、慢性的な腰痛の際にも注意したいポイントの1つです。急に立ち上がろうとせずに、前後左右に体を伸ばしたり動かしてから立ち上がることが予防につながります。
4ぎっくり腰になってしまったら・・・
ぎっくり腰は急性の一時的な腰痛だと軽視されがちですが、処置を怠ると長引くだけでなくそこから慢性的な腰痛に進んでしまうこともあります。ぎっくり腰になったら動くことも歩くことも苦痛になります。
そんな時は、楽な姿勢をとることです!横向きに寝て腰を丸めるようにすると少し楽になります。
痛みが落ち着くまでは無理に動いたりせず、RICE処置をおこないながら安静にしましょう!ぎっくり腰になってしまった時の処置をしっかりと理解して知っておく事が大切です。あとは実行するのみです!
4−1RICE処置
「RICE処置」という言葉を聞いたことはありますか?
RICE処置は外傷が起きた時に一番最初におこなうとても大事な処置。まずはこのRICEの意味を説明します。
R…Rest(安静)
I…Icing(冷却)
C…Compression(圧迫)
E…Elevation(挙上)
外傷が起こってすぐにRICE処置をしていれば、軽く済んでいたかもしれない外傷もこの処置をおこなわれなければ治癒が遅れてしまいます。では、それぞれどのような効果があるのでしょうか?1つずつ見ていきましょう。
Rest(安静)は、損傷した部位が腫れてしまったり、血管・神経損傷を防ぐためにおこないます。軽いぎっくり腰の場合は立ち上がって歩けたりしますが腰に負担をかけないようにまずは安静にしましょう。
Ice(冷却)は、炎症による腫れを抑える為に患部を氷で冷やします。15〜20分ほど冷やします。患部の感覚が鈍くなりますが時間が経つとまた痛みが出てくると思いますので繰り返します。痛みが出てから24時間〜72時間はアイシングおこないましょう!!
Compression(圧迫)は患部の内出血や腫れを抑えるためにテーピングや包帯を使って圧迫をします。しかし、あまりに強く圧迫しすぎると循環障害になってしまいますので、お気をつけください。
Elevation(挙上)は腫れをふせぐことと腫れの軽減をするためにおこないます。患部を心臓よりも高い位置に挙げるようにしましょう!ぎっくり腰が起こった時には、重症度に関わらずしっかりと対処をおこなってくださいね。
5痛みが取れてきたら軽いストレッチから始めよう
RICE処置をおこなって痛みが取れてきたら、徐々に動かしていきましょう。もちろん激しいスポーツをおこなうのではなく、ゆっくりとストレッチからです。ぎっくり腰が起こった腰周辺の筋肉は、動かせなかったぶん凄く硬くなっています。狭くなった可動域を広げ、ぎっくり腰を改善・予防していきましょう。
5−1寝ながらできるハムストリングスのストレッチ
- 足にタオルを引っ掛けます。
- 膝を軽く曲げた状態でゆっくりと足を上半身の方へ引きつけていきます。
- 太ももの裏が伸びてきたら、30秒キープしましょう
- 反対側も同じようにおこないます。
5−2寝ながらできる臀筋のストレッチ
- 仰向けに寝て伸ばしたい方の足を立て、反対の足は曲げている足に乗せます。
- ストレッチする方の足を両手で持ち、足を胸の方に近づけていきます。
- お尻が伸びてきたら、30秒キープしましょう。
- 反対側も同じようにおこないます。
5−3寝ながらできる腸腰筋のストレッチ
- 仰向けに寝てしっかりと片足を抱えます。
- 真っ直ぐに伸ばしている方の足は、床に押し付けるようにしましょう。
- 足を真っ直ぐに伸ばしている方の股関節の付け根が伸びてきたら30秒キープしましょう。
- 反対も同じようにおこないます。
ベッドなど高さがあるところで行える場合は…
- ベッドの角ギリギリに寄って仰向けに寝て、膝を抱えます。
- ストレッチをおこなう方の足をベッドから下ろします。
- 股関節の付け根が伸びてきたら30秒キープしましょう。
- 反対側も同じようにおこないます。
5−4膝抱えストレッチ
- 仰向けに寝て膝を立てます。
- 両足を抱え背中を丸めます。
- 背中が伸びてきたら30秒キープします。
6終わりに
いかがでしょうか。
ぎっくり腰は一度やってしまうと何度も繰り返してしまったり、慢性的な腰痛になりやすいものです。しかし正しく対処することによって再発を防げたり、回復を早めることもできます!今回ご紹介したストレッチは、普段から習慣にすることによって、腰痛の予防につながっていきますのでぜひ続けてみてくださいね。
この記事を書いたコーチ
垣内 友里恵
日本女子体育大卒。
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