肩こりは現代病と呼ばれています。なんと厚生労働省の発表によると女性が訴える自覚症状の第1位が肩こりで男性では腰痛に次いで第2位と言われています。それだけ多くの方が肩こりに悩む原因はなんでしょうか?
肩こりにお悩みの方は働く世代にとても多い印象が強いです。ですが最近は学生、高齢者にも増えてきているように感じています。原因として考えられる事はパソコンを使う頻度が影響していて、最近ではスマートフォンの影響によって10代からお年寄りまでのお悩みに拡大していったと予想できます。
かなり深刻なお悩みとなってきていることから、今回は肩こりの原因と実際にパソコンを使っている時の姿勢やパソコンを使用していても少しでも良い状態でいられるように今すぐできる工夫をご紹介していきます。
このコラムの目次
肩こりの原因は?
肩の関節は自由度が高い関節です。例えば高く腕を上げてグーっと伸びをしたり、横にある物を取ったり、グルグル回すなど多彩な動きができます。肩の関節は球関節という関節の構造であることによりどの関節よりも大きく動かすことができます。
さらに、肩の周辺に付いている筋肉や靭帯が協力し、連動することによって肩の動きが生まれています。
みなさんは、日常生活で肩の関節を動かし、大きく使うことができていますか?
デスクワークやスマートフォンを使う時間が格段に長い私たちは、肩の機能を利用することなく、ただただ筋肉は活躍の場を失ってしまっています。活躍の場を失った肩の筋肉は、硬くなってしまったり、筋力が弱くなってしまうため、その周辺は血行不良となるため疲れが蓄積しやすい体になり、肩こりを起こしてしまいます。
パソコンの時の姿勢ってどんな姿勢?
ご自身がパソコンをやっている時の姿勢を見た事がありますか?それを見た第三者から「姿勢悪いね〜」などと指摘されたという方もいらっしゃるかもしれません。
では見てみましょう!
いかがでしょうか?
背中が曲がって猫背のようになってしまっていますね。それだけでなく、頭も前に出てしまっています。普通に生活しているとなかなか気付くことができませんが、頭の重さは5㎏〜6㎏もあります。首が前に出てしまうと頭の重さは首と肩に掛かることになるので余計な負荷がのしかかります。
不良な姿勢とは?
背骨の弯曲を見てみましょう。背骨を横から見ると緩やかなS字カーブを描いています。頚椎(首)は前側に前弯しており、胸椎(胸)は後ろ側に後弯しています。この正しい弯曲が乱れると周辺の筋肉が疲れてしまい、肩こりにつながりやすくなるという訳なのです。
先ほどお見せした写真の姿勢は「猫背」。頚椎から胸椎にかけて極端に後弯してしまっているのは一目瞭然です。
このような姿勢では、頭の重さを首で支える形になり肩こりになる他、背中の筋肉も硬くなってしまいます。
猫背によって肩甲骨が硬くなり動きの制限が起こってしまうと、肩甲骨周辺の筋肉の負担になるので肩こりが起こるのです。
姿勢を良くする工夫
一番簡単なのは良い姿勢を取れるように意識をしてあげること。
骨盤の傾きを意識してみましょう。
猫背の場合…骨盤は後ろに倒れています
正しい姿勢の場合…骨盤は立っています
骨盤の傾きによって連動している胸椎や頚椎の位置も変わってきます。これを意識し続けるのが大変だという場合には、タオルを使います。
分厚めに折ったタオルをお尻が少し乗っかるくらいの場所に敷き段差をつけましょう。
少し坂を作ることによって、無意識に骨盤を立てることができるようになり自然と背骨弯曲も正しい姿勢に修正できます。しかし、いつまでもタオルに頼ってしまっては正しい姿勢は身につきません。たまには自分自身で意識をして正しい姿勢を作ってみましょう。
長時間同じ姿勢でいると何が良くない?
長時間同じ姿勢でいることは立ち・座りなどの体勢に関わらずオススメできることではありません。なぜなら、関節・筋肉が動かされず、ある筋肉にはずっと負担が掛かっていて、ある筋肉は全く使われていない。
というように偏ったクセが体に染みついてしまうからです。1日だけならすぐにリセットしてあげれば良いのですが、お仕事や家事のように毎日の生活スタイルが決まっている場合、筋肉の疲労は毎日上書きされて蓄積します。
この疲労の蓄積が肩こりの原因となります。そうならないためには、負担がかかった筋肉や動かさずに硬くなってしまった筋肉を伸ば
したり、ほぐしたりして日々体のケアをおこない、疲れた体をリセットすることが重要で
す。
◯デスクワークで筋肉が固まってしまった時に有効なストレッチ
オフィスで実践できるストレッチを4つご紹介します。壁を使う大胸筋のストレッチは、休憩時間などを利用して。そのほかの3つのストレッチはデスクで実践できそうなストレッチをご紹介していきます。
大胸筋のストレッチ
- 肘を90度に曲げて、前腕を壁につけます。
- 壁とは反対方向に向かって胸を開いていきます。
- 大胸筋が気持ちよく伸びてきたら、20秒キープしましょう。
- 反対側もおこないます。
- ※トイレやお昼休憩などで席を立った時にぜひ実践してみてください。
胸鎖乳突筋のストレッチ
- 鎖骨の窪みを軽く左手で抑えます。
- 斜め左上見るように顔を傾けていきます。
- 首の前側が気持ちよく伸びてきたら20秒キープしましょう。
- 反対側もおこないます。
- ※時間がある時には、少し首の角度を変えながら数箇所伸ばしてみてください。
肩回し
- 肩に手を当て、肘で大きな円を描くようなイメージで大きく回します。
- 後ろ回しに10回おこないましょう。
- ※肘の位置が後ろに回っている時には胸が開いている実感をしてください。
ハムストリングスのストレッチ
- 椅子に浅く腰掛けます。
- ストレッチしたい方の足を伸ばし、かかとをつきます。
- 骨盤を立て、付け根から折り曲げるイメージで上半身を倒します。
- 太ももの裏側の筋肉が伸びてきたら20秒〜30秒キープします。
- 反対側もおこないましょう。
1日の終わりにオススメのストレッチ
先ほど紹介した上半身のストレッチ3つ(大胸筋、胸鎖乳突筋、肩回し)をおこないます。
3つのストレッチにプラスして、ぜひ伸ばしていただきたいストレッチを3つご紹介します。
広背筋のストレッチ
- 伸ばしたい方の手首を掴み、腕を少し上に引っ張るイメージで体を横に倒します。
- 脇腹周辺が伸びてきたら20秒キープします。
- 反対側もおこないましょう。
ハムストリングスのストレッチ
- 片方ずつ伸ばしていきます!!
- 床に座り左足を曲げ、右足は身体の正面にくるように伸ばします。
- 骨盤を立て、姿勢を良くした状態で右足の方へ身体を倒していきます。
- ※できるだけ姿勢がいい状態を作ってから身体を倒していきましょう。
- 太腿の裏が伸びてきたら、30秒キープします。
- 反対側もおこないましょう。
大臀筋のストレッチ
- 右足を90度に曲げて、左足は後ろです。
- 骨盤をできるだけ真っすぐに立てて胸を張りながら右足に向けて倒していきます。
- このときに右足が少しだけ浮いてくるので右手で軽く押さえながら行います。
- ※強い力で右足を押すと膝を痛める危険性があるので注意しましょう!
- お尻周りが伸びてきたら、30秒キープします。
- 反対側もおこないましょう。
あなたの肩こりはパソコンから?
毎日、当たり前におこなっているパソコン作業が肩こりの原因だったのかもしれません。不良な姿勢や長時間同じ姿勢でいる事が原因となってしまっている場合には、姿勢の改善や固まってしまった筋肉を動かしたり、伸ばしたりする事で少し状態を楽にすることができるでしょう!
毎日の疲れを蓄積させないように対処することはとても大切です。なんと正しい姿勢で座る事で集中力が向上するようです!肩こりが良くなり、集中力も上がれば、仕事効率アップ間違いなしですね。
できれば、時間が多く取れる時には肩こりを「改善」する為にもいつもよりじっくりと時
間をかけてストレッチをおこなえると良いですね。
この記事を書いたコーチ
垣内 友里恵
この記事を書いたコーチがいる施設
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