1冷えの原因ってなに?
私たちは体温を一定に保つことができ、汗や血流を調整して体温調整を可能にしています。寒さを感じると、脳にその情報が届き自律神経の中枢となる視床下部へと伝えられ、体温を一定に保つように指示されます。
そうすると、血管を縮めて血流を抑えて皮膚の温度を低く保ち、身体の中の熱を外に逃げないようにしています。
例えば、寒い日に身体が震えることがあると思いますが、筋肉を振るわさせて体温を上げて、暑い日は血管を広げてたくさんの血液を流れるようにし、皮膚の温度を上げて熱を出したり、汗をたくさんかいて熱を逃して調節されているのです。しかし、何らかの影響で下記の4つに問題があると、冷え性を引き起こしやすくしています。
1−1血行の問題
血液は酸素や栄養を身体の隅々まで運び、一方で体内でできた老廃物や二酸化炭素を身体の外に排出できるようになっています。また、身体の中でできた熱を全身に届けてくれているのも血液の役目です。と言うことは、血流が良くなっていけば上手く循環ができることがわかります。
しかし、ドロドロの血液になってしまっていると、身体の隅々まである毛細血管まで血液は届かず、老廃物などを溜め込み冷える原因となります。そのため、適度な運動など筋肉が常に動くようにし、規則正しい生活をすることが必要になります。
1−2筋肉量の問題
まず、私たちはエネルギーを運動以外でも消費できるように、基礎代謝というものが備わっています。その基礎代謝のエネルギー消費量は、1日の中で60〜70%を占めています。さらに部位別に分けると、
- 筋肉・・・約38%
- 肝臓・・・12%
- 胃腸・・・8%
- 腎臓・・・8%
- 脾臓・・・6%
- 心臓・・・4%、
- その他・・・24%
この数値を見ても明らかに筋肉量が少ないと、消費エネルギーを生み出せないことがわかります。なぜ、筋肉が少ないことによって身体が冷えやすいかと言うと、筋肉は熱を生み出す力を持っているからです。
また、運動を含め筋肉を動かすことで、さらに熱量を高めることができます。こう言ったことから、男性より女性の方が冷えを感じるのは納得がいくかと思います。
ちなみに、体重に対する男女の筋肉量の違いは、男性が約40%女性が36%と言われています。そのため、ダイエットで筋肉を減らしてしまうと、慢性的な冷えに繋がる危険性が生まれるので注意が必要です。
1−3生活週間の問題
ジャンクフードや偏った食事、睡眠不足やストレス、アルコールやたばこなどの摂取量が多くなりがちだったり、不規則な生活をしてしまうとビタミンやミネラルが欠乏し、身体を冷やしやすくするのはもちろん、ドロドロの血液にしてしまいます。
特に血液は、生活習慣(食生活)の影響を強く受け、血流を悪くしてしまいます。
また、以下の物を取り過ぎに注意が必要です。
- ファストフードやお菓子などのジャンクフード
- 化学調味料や食品添加物
- 塩分や糖分、脂質、コレステロール
- 清涼飲料水
これらを過剰に摂取することで、血液中の糖質や脂質が増えて血流が悪くなり冷えます。また、運動不足なども筋肉量の低下や、熱を生み出すことができなくなるので、冷えを引き起こしてしまいます。
1−4自律神経の問題
自律神経は体温調整の役割があります。
暑くなれば血管を拡張し熱を逃がして、寒くなると血管を縮めて体温を逃がさないようにしています。緊張や不安など過度のストレスを溜め込んでしまうと、末端の血流が悪くなり血行不良を引き起こします。
また、緊張などストレスが継続的になると、交感神経が長時間優位になり、自律神経のバランスが崩れて、体温調整がうまくできなくなるのです。その他にも、冷暖房の環境に長時間いると自律神経が乱れ、暑さ寒さの感覚が鈍くなります。
その結果体温調整が上手く働かなくなり、毛細血管の収縮させて冷えの原因となるのです。
2冷えを改善するストレッチ
冷えを解消させるのは、大きな筋肉を動かしてあげて血流を良くさせる必要があります。ストレッチは軽い運動効果もあるので、筋肉が動くようになると血液を全身に送り届けるポンプの役割も可能です。
2−1肩甲骨のストレッチ
- 肩幅くらいに足を開いて、椅子に座っていきます。
- 右手を左足の外側に背中を軽く丸めて、肘を伸ばしたまま持って行きます。
- この状態で20秒〜30秒キープしましょう。
- 今度は、右手をそのまま斜め後方に、肘を伸ばしたまま腕の付け根から胸と肩甲骨をストレッチしていきます。
- そのまま20秒〜30秒キープしましょう。
- 反対側も同じように行います。
2−2大臀筋のストレッチ
- 左足を前方に90度に曲げて、右足を後方に伸ばしていきます。
- 股関節から折れ曲がるように、体を倒していきます。
- しっかり伸びたところで、30秒キープしていきましょう。
- 反対側も同じように行います。
2−3ハムストリングスのストレッチ
- 仰向けの状態で寝ていきます。
- 左足の裏にスポーツタオルもしくは、フェイスタオルを引っ掛けます。
- そのまま出来る限り膝を伸ばした状態で、右足を体に引き寄せていきましょう。
- 太ももの裏側が伸びているのを感じたら、20秒〜30秒キープしていきます。
- 柔軟性の低い方は、膝を軽く曲げて頂いても構いません。
- 反対側も同じように行いましょう。
2−4ふくらはぎのストレッチ
- 長座の状態で座り、両足の裏にタオルを引っ掛けて準備します。
- 背筋もしっかりと伸ばし、タオルを引くと同時に上体を少し前に倒します。
- ふくらはぎや膝裏など足の裏側が伸びている状態で、20~30秒キープしていきましょう。
※ふくらはぎは血液を下半身から心臓に戻す役割をしているため柔らかくすることで、血液循環がよくなり冷え性の改善に役立ちます!
2−5スネのストレッチ
- 安定して行うために、壁などにつかまって行います。
- 足は肩幅くらいに開きます。
- 右足の足の甲を床に向けるようにし、つま先から足の指の付け根くらいまで床につけてます。
- そのままゆっくりと足先に体重をかけていき、重心は少し前にしていきましょう。
- しっかり伸びたら30秒キープしていきます。
- 反対側も同じように行いましょう。
3冷えを改善するエクササイズ
上で説明したように筋肉が少なくなってしまうと、身体の中で熱を生み出せなくなってしまいます。また、年齢とともに筋肉量も落ちていってしまうので、大きい筋肉がある足を中心にエクササイズができると、冷え性の改善に効果が期待できます。
3−1スクワット
- 足を肩幅よりすこし広くして立ちます。
- 正面を向き、腰が丸まったり反らないようにしましょう。
- 太ももが床と平行になるように、股関節を曲げて腰を落としていきます。
- この時に足裏全体で身体を支えて、膝はつま先の真上くらいに来るようにします。
- 膝が内側に入ってしまったり、かかとが浮かないように注意しましょう。
- しゃがんだら2秒くらいキープして、元の姿勢に戻ります。
- これを15回〜20回繰り返していきます。
3−2タオルラットプルダウン
- タオルを肩幅より広く持ち、肩や背中に力が入らないようにします。
- 膝を軽く曲げて、お尻は少し後ろに突き出します。
- 肩甲骨を寄せるように、脇を締めながら腕を下ろしていきましょう。
- この時に、あごは引いて視線は前を向くようにします。
- 背中の筋肉を意識しながら、この動きを10回〜15回繰り返していきましょう。
3−3カーフレイズ
- 手は肩幅くらいに開いて壁際など、身体を軽く支えられるところで立ちます。
- 両足は肩幅より少し狭くし、つま先立ちになるようにゆっくり踵を上に引き上げていきます。
- 限界くらいまで背伸びの状態になったら、3秒そのままキープしましょう。
- 上がる時は少しだけ身体を前傾にすると効果的です。
- キープし終わったら、ゆっくり下に降りていきます。
- 降りた時も踵が床につくかつかないかくらいで止めると、さらに効果的にトレーニングができます。
- この動きを20回程繰り返していきましょう。
3−4タオルギャザー
- 椅子に座りその前にタオルを床に置きます。
- タオルの手前側に足全体を置きます。
- 踵は浮かないようにゆっくりタオルを手繰り寄せていきましょう。
- 足の甲が丸くなるようにタオルを引き寄せていきます。
- この動きを10回繰り返していきましょう。
- 反対足も同じように行います。
3−5ランジ
- 両足を肩幅くらいに開いて立ちます。
- 片足を前に踏み出して、膝と股関節を90度に曲げていきます。
- 後ろの足も膝を90度に曲げましょう。
- この時に上半身は床と垂直になるようにし、膝は正面に向けてつま先より前に出ないようにします。
- 前足蹴り後ろ足で踏ん張って、最初の姿勢に戻ります。
- 反対側も同じように行い、交互に20回くらい繰り返しましょう。
4冷えを予防するため意識したいこと
冷え性の改善には、日常生活の見直しや向上が必要となります。意識をすることで少しずつ変化していきますので、自分には何が当てはまるのかチェックしてみてください。
4−1たんぱく質を意識して食べる
たんぱく質や炭水化物、脂質は私たちに必要な栄養素で、この3つを合わせて三大栄養素と言われています。たんぱく質の役割として筋肉や臓器など身体の調整に役立つホルモンの材料になるのはもちろん、エネルギー源となり筋肉を作るのに大切な栄養です。
筋肉量が低下すると、基礎代謝も下がってしまい全身が冷えやすくなってしまいます。そのため、たんぱく質は1日に女性は50g、男性は60g取る必要があるとされています。筋肉量を減らさないようたんぱく質の摂取とともに、大きな筋肉を鍛えることで効果がより一層期待できます。
4−2アルコールを控える
アルコールを飲むと暑く体温が上がった感じがしますが、冷たいビールはもちろんお湯割りなど温かいものでも身体を冷やしてしまいます。アルコールを代謝することで生まれるアセトアルデヒドが血管を拡張させて皮膚から熱を逃してしまうためですまた、脱水状態になりやすく、毛細血管への血流も妨げてしまい、より冷えやすい身体になってしまいます。
4−3睡眠時間の確保
1日の中で体温は大きく分けると、体内時計と熱生産・放熱の2つの機能があります。体内時計は体温や睡眠と目覚めなど様々なリズムを作っています。
このリズムは、朝から夜にかけての1日の変化や季節の変化に対して、効率よく適応できるように身体を調整してくれるものです。一方で、熱生産や放熱は前視床下部にあります。体内時計が時間が経過するとともに、設定を変える基準値に体温が上がるように熱を生み出したり、熱を身体の外に逃がしたりして体温を調整しています。
この2つの働きによって、体温は睡眠の質や目覚めに関係し、リズムの調整を行い体温調整に関わっているのです。
4−4カイロや腹巻など温めるグッズを使う。
1年を通して身体がキンキンに冷えてしまっている方は、こう言ったアイテムを使うのも悪くはありません。
一時的にでも少しは体温を含め、身体を温めることができます。特に、3首と言われる首、手首、足首を温めたり、お腹を温めることで、血流が改善されていきます。
またお腹を温めることで、内臓の温度を上げることがで、さらに身体の中から温度を上げることが可能です。あくまでも応急処置として使用するようにし、上記の3つを意識してもらえるといいです。
5終わりに
冷えは万病の元なんて言う言葉もありますが、甘く見てしまっていると思わぬ不調に見舞われます。肩こりや腰痛、内臓疾患や太りやすくもなってしまいます。痛みなどの不調が出る前に対策し、快適な日常生活を送れるようにしてみて下さいね。
この記事を書いたコーチ
柴田 卓慧
この記事を書いたコーチがいる施設
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