このコラムの目次
1 寝起きに腰が痛くなる理由って?今回の記事は「寝起きの腰痛」について掘り下げていこうと思います。
主な原因としてあげられるのは「姿勢」そして「寝具」この2つの問題です。寝起きに腰痛になってしまう方は、まずこの2つの問題を見直していきましょう。
1−1姿勢の問題
主に骨盤周辺や腰椎周辺の筋肉の柔軟性がなく、動きが悪くなっている人や、その周辺の既往(過去も含め)がある場合は寝起きの腰痛になりやすいと言えます。このような人は、骨盤の位置が本来あるべき位置とずれてしまっていることがあります。つまり、常に姿勢が悪くなっているのです。
長時間同じ姿勢でいることで、肩や腰に負担がかかりやすい(デスクワークなど)というのはご存知の方も多いと思いますが、これは寝ているときにも同じことが言えます。特に先程あげたような方は、寝ている間約6〜8時間も腰に負担をかけ続けることになります。
1−2寝具の問題
寝起きの腰痛の大半は姿勢の悪さからくるもの(正しい姿勢でいられる人が少ないともいう)ですが、寝具が合っていないというのも原因の一つです。
枕の高さを気にする方は多いと思いますが、マットレスの「硬さ」も重要です。柔らかすぎるとお尻が沈んで腰が反ってしまいますし、逆に硬すぎてもよくありません。
寝た時に腰が浮かずにしっかりと体を支え、負荷が分散される硬さが理想です。
2 寝起き腰痛になりやすい人は?
腰痛の様々な原因の中で、特に寝起きの腰痛に注意したい姿勢や既往を紹介します。当てはまる方はぜひ後半の予防方法やストレッチを参考になさってください。
2−1反り腰
字のごとく、腰が反ってしまっている人。腰が反っているというのは、骨盤前傾のことを指します。女性に多い反り腰ですが、腹筋が弱かったり腸腰筋・大腿四頭筋の柔軟性低下なども原因にあげられます。
2−2椎間板ヘルニア
一般的に背骨と呼ばれる骨は椎骨という骨からなっています。その椎骨の間でクッションの役割をしている椎間板が何らかの理由で突出してしまい、近くの神経を圧迫することで症状を引き起こすことを椎間板ヘルニアと呼びます。
その症状は場所によって異なりますが、腰の痛みだけでなく下半身に痺れなども伴うことがあり、ひどい場合は手術する場合もあります。
椎間板ヘルニアの起因としては、大きな衝撃を受けるなどの突発的なものもありますが、多くは姿勢の悪さや姿勢を維持する筋力の低下など、長年にわたって負担をかけ続けることで発症することが多い傷害です。
2−3脊柱管狭窄症
背骨には脊柱管と呼ばれる脊髄が収まっている管があります。その一部が狭くなり、神経や血管が圧迫されることで起こります。神経に関係していますので、腰自体の痛みというよりは下半身が痺れたり、疲れやすくて長時間歩けないなどの症状が出ることが多いです。
原因は主に加齢と言われていますが、日常生活で腰に負担をかけ続ける姿勢や動作が多いということも大きな原因の一つになります。
3 腰痛の原因となる筋肉
寝起きの腰痛に限らず、腰痛全般に共通して大事になってくる筋肉を挙げてみます。腰痛持ちの方は覚えておいて損はないでしょう。
3−1脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
背骨に沿って腰から首まで支えている3つの筋肉の総称。ここが硬くなることで背骨の動きが悪くなり、腰痛の直接的な原因となります。
3−2大腿四頭筋・腸腰筋(だいたいしとうきん・ちょうようきん)
反り腰のところで出てきたこの2つの筋肉。大腿四頭筋は太もも前の筋肉、腸腰筋は同じく体の前側で上半身と下半身をつないでいる筋肉です。
この2つは多くの方が硬くなりやすい筋肉で、硬くなることで骨盤前傾が起こって腰に過度な負担をかけます。寝起きの腰痛では、1番に気にしたい筋肉です。
3−3臀筋群・ハムストリングス(でんきんぐん)
お尻、そして太もも裏の筋肉です。この2つの筋肉は先ほどとは逆で、硬くなることで骨盤後傾を引き起こします。寝起きの…となると、骨盤前傾を予防・改善した方が良い場合が多いですが、これらも腰痛予防には重要な筋肉になります。また、大きな筋肉ですので、ここが硬いと血行が悪くなってしまうという点でもしっかりとケアをしておきたい箇所です。
4 寝起き腰痛の予防で工夫できること
寝起きになる腰痛では、できるだけそうならないように予防に努めましょう。自分の姿勢がどのように崩れてしまっているのか、日常生活から見直すことも大切です。また、寝具は自分に合ったものを買うのが1番ですが、今あるものでも工夫1つで快適になるかもしれません。
4−1寝る姿勢で工夫ができること
寝る姿勢で気をつけたいのは、腰が反ってしまうこと。反り腰など腰に不安のある方は、次で紹介するストレッチを寝る前に行ってみてください。
その上で、工夫できるポイントは「足の高さ」です。布団を畳んだものやクッションなどを足の下に置くことで高さを出し、腰を反りにくくすることができます。
また、骨盤が前傾位にならないように「両膝を立てる」という方法もあります。寝ている間に無意識に戻してしまう可能性もありますが、足を高くする方法が合わない方はこちらも試してみてください。
4−2寝具で工夫ができること
良い寝具を使えるに越したことはないのかもしれませんが、自分にあったものを選ぶのは大変ですし、どんどん出費がかさんでしまいます。今あるもので快適な睡眠の環境を作るために、バスタオルが活躍してくれます。枕の高さを調整できるのはもちろん、マットレスが柔らかくて腰が沈んでしまう場合も、腰・お尻のあたりにバスタオルを敷くことで調整が可能です。
5 寝起き腰痛を予防するストレッチ
大切なのは「予防」です。痛くなる前に、または痛みがひどくなる前にしっかりとストレッチをして予防に努めましょう。寝起きの腰痛の原因でもある姿勢改善にもつながってきます。
寝る前に行いやすいよう、床で座った状態、または寝た状態でできるものをご紹介します。一ヶ所10〜20秒ずつ、ゆっくり呼吸をしながら行いましょう。
5−1臀筋のストレッチ
- 仰向けに寝た状態で右膝を抱えるように持つ
- 右膝を左肩に近づけるように引き寄せる
- 反対も同じように行う
- 左足で右の足首辺りをサポートしてあげるとより楽にしっかりと伸ばせます。
5−2ハムストリングスのストレッチ
- 片足を伸ばして座る
- 出来るだけ背筋を伸ばしたまま体を前に倒す
- 反対も同じように行う
- 「背筋を伸ばしたまま」行うのがポイントです。
- 辛い場合は軽く膝を曲げた状態で行いましょう。
5−3腸腰筋のストレッチ
- 左足を曲げ、右足は後ろに大きく引く
- 右足太ももの付け根から床につくように体勢を整える
- 反対も同じように行う
- 腰が反りやすい体勢になりますので、すでに痛みのある方は無理のないように行いましょう。
5−4内転筋のストレッチ
- 足の裏を合わせるように膝を開いて座る
- 体を前に倒しながら肘を使って両膝をさらに床の方へ押す
- 最後に両手を前に伸ばしさらに体を倒す
- 最後に③をやることで、同時に腰の筋肉も伸ばすことができます。
5−5腰のストレッチ
- 仰向けに寝た状態で両膝を立てる
- 両膝を合わせて左右交互に10回ほど倒す
- ①の状態で止め、最後に両膝を胸の方に抱える
- 最後に抱える時には、腰からお尻のあたりが床から浮くように持ち上げます。
- このストレッチが寝ている時に反り腰にならないための1番大事なストレッチです。
6終わりに
睡眠は、人間が健康な生活を送る上で欠かせない要素の一つです。寝起きに腰痛になるということは、おそらくその睡眠の質もよくありません。つまり、単に腰が痛いということだけが問題ではないということです。
普段からの姿勢や寝具を見直したり工夫をすること。そしてストレッチを取り入れることで、できるかぎり予防に努めること。そしてこのことは腰痛予防だけでなく睡眠の質を上げることにもつながっていく。
健康で快適な日常生活には、寝る環境も体も整えていくことが大切なのです。
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