1股関節が硬いデメリット
歩く、走る、座るなど日常動作では、股関節が常に動いていて重要な部位になります。したがって、日々の過ごし方や毎日の習慣が良い方にも悪い方にも顕著に出るのが股関節です。デスクワークを基本とする職業の方は、動きが少ない分あまり股関節を使えていない場合が多く、それも関係して体の不調や悩みも多いのが特徴です。
最近疲れが溜まりやすく抜けにくくなった、下半身が太ってきたと感じる、良い姿勢が取りづらい、冷えやむくみに悩んでいる、スポーツ中に腰や股関節や膝が痛む方は股関節が硬くなっているかもしれません!!
まずは股関節が硬いデメリットを5つご紹介します。
1−1疲れがたまりやすい
疲れが溜まりやすい体は簡単に言うと血流が悪く老廃物が溜まっている状態です。血液は、身体中に酸素を運んだり疲労物質を流す働きがあります。
したがって、血流が悪いと体に疲れが蓄積しやすくなるのです。血液の流れを左右しているのは、その周辺の筋肉の動きになります。
股関節の周辺の筋肉を大きく動かすことができなくては、疲れは蓄積する一方です。疲労が溜まりやすい体を改善していくには、股関節の可動域をUPさせることが大切です。
1−2下半身太りになりやすい
最近お尻が下がってきた、お尻や足に贅肉がついた気がする…とテンションを落としてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。下半身痩せは、食事制限だけではなかなか大変な部分です。
筋肉は使われないと、周辺に脂肪がついてしまったり、あっという間に筋力が落ちてしまったりします。筋肉をうまく使えずに脂肪が溜まりやすくなるのも筋力が落ちるのも、股関節の可動域が狭いから。また筋力が落ちれば代謝が下がるので、ますます痩せにくい体になっていくのです。
股関節の可動域を広げることが、下半身太りを解消するためにはとても重要です。
1−3姿勢の悪影響
股関節の動きは骨盤を動かし、背骨にまで影響を与えます。
例えば、股関節がガニ股のように開くと骨盤は後傾(後ろに倒れる)します。股関節が内股のように内側に入ると骨盤は前傾(前に倒れる)します。後傾すると背骨も丸くなり猫背に、前傾すると反り腰になります。
デスクワークで長時間同じ姿勢でいる方や運動不足の方、反対に体を動かす習慣はあるもののストレッチなどのクールダウンをおこなう習慣がない方も股関節の硬さが現れやすく、不良な姿勢を招いているケースが多くみられます。
1−4むくみや冷えになりやすい
むくみや冷えは、血液の流れやリンパの流れが滞ることによって起こります。
股関節にはリンパ腺が多く集まっているため、股関節周辺の筋肉の活動が減ってしまうと血流やリンパの流れが悪くなり、むくみや冷えを引き起こしやすくなります。デスクワークの場合は特に気をつけたいですね!一日座りっぱなしでいると、股関節はずっと圧迫されリンパが滞りやすいです。
寒さでじっと動かなかったり、ピタッとしたガードルなどでの圧迫もむくみや冷えにはよくありません。さらに、股関節周辺の筋肉を動かさないとリンパ液は流れてくれないのでストレッチや運動をおこなっていきましょう。
1−5怪我をしやすくなる
股関節は人間の中で一番大きな関節です。上半身と下半身を繋ぐ部分であることは見た目でも分かりますが、パワーを伝達する役割もあるのでスポーツをおこなう上ではすごく大切な部分になります。
とても重要な働きをする股関節ですが、そもそも関節は体にかかる衝撃を分散させてくれる働きがあります。股関節が硬いと着地などで足をついた際に、腰や膝が直接衝撃を受けることになり膝や腰に負荷をかけます。
もちろん股関節が痛くなるなどの怪我も考えられますが、体の中心部分であり大切な役割をしているからこそ、股関節が硬いことによって他の部分の怪我のリスクを高めてしまいます。
2股関節の前面のストレッチ
股関節が硬いことによるデメリットが分かったところで、股関節を柔らかくするためのストレッチをご紹介していきます。
股関節の柔軟性を高める上で重要な前面の筋肉は、「腸腰筋」と「大腿四頭筋」です!どちらも股関節を屈曲(股関節を前方向に曲げる動作)させるときに働きますが、硬くなると反対に股関節を伸ばす方の可動域が失われていきます。
足の前後の運動は日常生活の立つ・座る・歩く・走るなどの動作でも多く使われますので十分な可動域をストレッチで確保していきましょう。
2−1腸腰筋のストレッチ
- ストレッチしたい方と反対の足を前に出します。
- 股関節の付け根を突き出すように体重移動をします。
- 股関節の付け根が伸びてきたら、30秒キープしましょう。
2−2大腿四頭筋のストレッチ
- 足を伸ばして座ります。
- ストレッチしたい方の足を曲げます。
- 伸び感が低い場合は、上半身を仰向けの形になるように倒していってください
- 太ももの前側が伸びてきたら、30秒キープしましょう。
3股関節の後面のストレッチ
股関節の後面の筋肉は「ハムストリングス」と「大臀筋」と「中臀筋」の3つです。ハムストリングスと大臀筋は股関節の伸展(曲げた状態から伸ばす動作 )、外旋(股関節を外側にひねる動作)に働き、中臀筋は股関節の外転(足を外に広げる動き)や内旋(内側にねじるような動き)に働きます。股関節の後面はとても大きな筋肉が多いのでしっかりと伸ばしていきましょう。
ハムストリングスは3つの筋肉の総称になります。それぞれの筋肉に対してのストレッチ方法をご紹介しますので、どこが伸びているのか確認しながらストレッチしてみましょう。
3−1ハムストリングスのストレッチ
- ストレッチしたい方の足は正面に伸ばし、反対の足は曲げます。
- 骨盤を立てて姿勢を良くした状態で、伸ばしている足の方へ体を倒します。
- 太ももの裏の筋肉が伸びてきたら、30秒キープします。
3−2ハムストリングス内側のストレッチ
- ストレッチしたい方の足は正面に伸ばし、反対の足は曲げます。
- 伸ばしている方の足を内側にひねります。
- 骨盤を立てて姿勢を良くした状態で、伸ばしている足の方へ体を倒します。
- 太ももの裏の少し内側の筋肉が伸びてきたら、30秒キープします。
3−3ハムストリングス外側のストレッチ
- ストレッチしたい方の足は正面に伸ばし、反対の足は曲げます。
- 伸ばしている方の足を外側にひねります。
- 骨盤を立てて姿勢を良くした状態で、伸ばしている足の方へ体を倒します。
- 太ももの裏の少し外側が伸びてきたら、30秒キープします。
3−4大臀筋のストレッチ
- 片足は膝を曲げて前へ、もう片方の足は後ろに流します。
※前の方の足はできるだけ90度を意識してください。 - 骨盤を立てて太ももに向かってゆっくりと体を倒します。
- お尻の筋肉が伸びてきたら30秒キープします。
3−5中臀筋のストレッチ
- 片足を伸ばした状態で座り、もう片方の足は曲げて膝の上にのせます。
- 伸ばしている方の膝を少しづつ曲げていきます。
- 伸ばしていた足の方に倒し、写真のような形を作ります。
- 曲げている足を抱え、引きつけるようにしてお尻を伸ばします。
- 中臀筋が伸びてきたら30秒キープします。
4股関節内側のストレッチ
股関節の内側の筋肉は「内転筋」という筋肉です。内転筋は股関節の内側にあり、女性が細くしたいと思う部位の1つではないかと思います。日常生活で内転筋は、座っているときに足を閉じるなどの動作で働きます。反対に股関節を開く動作をおこなうことによって内転筋は伸ばすことができます。ここでは内転筋の伸ばし方を3つご紹介します!
4−1内転筋のストレッチ①
- 準備運動の伸脚の時の姿勢を取ります
- つま先は斜め前を向く形にしましょう。
- 曲げている方のかかとに重心を乗せ、お尻を突き出すように意識しましょう。
- 太ももの内側が伸びてきたら30秒キープしましょう。
4−2内転筋のストレッチ②
- 両足の裏を合わせます。
- 上半身を前に倒していきます。
※骨盤を立て、体を前に倒すようにします。 - 太ももの内側の筋肉が伸びてきたら、30秒キープしましょう。
4−3内転筋のストレッチ③
- ストレッチしたい方の足を横に広げます。
- もう片方の足は曲げます。
- 上半身を正面に倒していきます。
- 太ももの内側が伸びてきたら、30秒キープします。
5股関節外側のストレッチ
股関節外側の筋肉は「大腿筋膜張筋」と「梨状筋」です。大腿筋膜張筋は股関節の外転(股関節を外側に開く動作)、屈曲(股関節を前方向に曲げる動作)、内旋(股関節を内側にひねる動作)に働きます。
梨状筋は股関節の外旋(股関節を外側にひねる動作)に働きます。あまりメジャーな筋肉ではありませんが、股関節の様々な動きに関わるだけでなく、股関節を安定させる働きもありとても重要な筋肉です。
5−1大腿筋膜張筋のストレッチ
- 四つん這いになります。
- ストレッチする足とは反対の足を大きく前に出します。
- ストレッチする方の足は、反対の足があったところまで移動させ膝を付きます。
- 大腿筋膜張筋は太ももの側面の筋肉になりますので、お尻を横に突き出すようにします。
- 太ももの側面が伸びてきたら30秒キープします。
5−1梨状筋のストレッチ
- ストレッチする方の足は膝を立て、反対の足は伸ばした状態で座ります。
- 曲げている方の足を内側に倒します。
※無理に力を入れず、自然に倒れるところまでOKです。 - 伸ばしている方の足を、倒している方の膝に乗せます。
- 力調節をおこないながら少しづつ力をかけていきます。
- お尻付近が伸びてきたら、20秒キープしましょう。
※キープに慣れてきたら、小刻みに力をかけるようにしてみてください。
6終わりに
いかがでしょうか。股関節が硬い事でのデメリットと股関節の柔軟性を向上させるストレッチをご紹介しました。
ストレッチでは、
○股関節の前面
○股関節の後面
○股関節の内側
○股関節の外側
に分けてストレッチをお伝えしました。この4カ所の中の1カ所でも硬くなってしまうと股関節の動きは悪くなり、可動域が小さくなって不調が出やすくなります。股関節の可動域を広げて、今回ご紹介したデメリットとは反対にメリットを実感していただけるようにストレッチに取り組んでみてくださいね!!
この記事を書いたコーチ
垣内 友里恵
日本女子体育大卒。スポーツパフォーマンス向上を得意とするパーソナルトレーナー。自身も幼い頃から現在までバドミントンを続け、より良いパフォーマンスを求めて日々鍛錬を重ねる。その他にも、ゴルフ・マラソン・水泳をはじめとしたスポーツを楽しむ顧客を沢山抱え、悩みや不調のない快適な身体作りを提供している。得意な技術は肩関節のリコンディショニング。
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